腎臓外科

腎臓外科について

2017年7月に済生会神奈川県病院に腎臓外科が新設されました。

慢性腎臓病が進行し生命維持が難しい状態(末期腎不全)になると予測される場合、腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)への移行が必要です。
透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。血液透析は血液を透析回路に運び血液を浄化し、腹膜透析はきれいな透析液を腹腔内に注入し、貯留することで血液を浄化します。どちらも透析を行うための「経路(アクセス)」が必要で、その経路を作製するためには手術が必要です。血液透析を行うための経路を「バスキュラーアクセス」、腹膜透析を行うための経路を「ペリトネアルアクセス」といいます。当科では末期腎不全患者さんの透析療法に必要なアクセスの作製やアクセストラブルへの対応を専門に診療を行っております。

腎臓外科で診る病気

  • バスキュラーアクセス、ペリトネアルアクセスの新規作製
  • バスキュラーアクセス、ペリトネアルアクセストラブルへの対応
  • 腎移植後維持免疫抑制療法の管理 など

診療内容と特色

近年、透析患者さんの高齢化や長期化、糖尿病の増加により、バスキュラーアクセスの管理・治療は困難さを増しております。そのためバスキュラーアクセスを長期間使用できるよう機能不全を起こす前にその予兆を見つけ出し、適切な治療介入を行うことが必要です。当科では超音波装置を用いて定期的なバスキュラーアクセスの形態評価(狭窄、閉塞等)や機能評価(シャント血流量、血管抵抗指数値の測定)を行っております。またバスキュラーアクセス機能不全(狭窄、閉塞)に陥ってしまった場合でも積極的に治療を行っております。バスキュラーアクセスの治療は大きくわけて2種類あり、経皮的血管形成術(PTA)と言われるカテーテルを用いた血管内治療と外科的治療がありますが一般的にはまずPTAが選択されます。PTAには造影剤を用いてX線透視下に行うPTAと造影剤を用いずに超音波ガイド下に行うPTAの2種類があり、患者さんの状況(透析未導入、造影剤アレルギー等)によって治療方法を選択します。ただ当院では医療者や患者さんに対する被爆の回避および造影剤アレルギー発症のリスク回避のため基本的には超音波ガイド下にPTAを行います。PTAでの治療が難しい場合にはバスキュラーアクセスを外科的に修復する手術を行います。
バスキュラーアクセスをより良い状態で長く維持していくことは透析患者さんの負担軽減のみならず、透析効率の維持、生命予後の改善や生活の質向上にも貢献します。当院では腎臓内科医とタッグを組み、豊富な透析治療の経験と実績を生かし、バスキュラーアクセス治療に専門的かつ総合的に対応致します。また当病院の特性を活かし、様々な合併症を有する透析患者さんのバスキュラーアクセストラブル(脱血不良、静脈圧上昇、再循環、穿刺困難、シャント肢腫脹、穿刺部発赤など)にも迅速に対応致します。バスキュラーアクセスに関してお困りのことがございましたら是非ともご相談下さい。

スタッフ紹介

医師名 専門としている領域 学会専門医・認定医
二瓶 大部長 腎不全外科全般 日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本透析医学会専門医・指導医
日本移植学会移植認定医
日本臨床腎移植学会認定医
バスキュラーアクセス血管内治療認定医
日本腹膜透析医学会認定医