ロボットスーツ HAL🄬(Hybrid Assistive Limb)
【医療用下肢タイプ】
HALはCYBERDYNE社が開発した、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる、世界初のサイボーグ型ロボットです。
装着して身体を動かすことでHALが不自由な身体の動きをアシストし、脳・神経系への運動学習を促します。
厚生労働省の定める疾患の患者を対象に、歩行機能改善を目的に実施しています。
【厚労省の定める対象疾患】
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)
- 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)
- 遠位型ミオパチー
- 封入体筋炎(IBM)
- 先天性ミオパチー
- 筋ジストロフィー
- HTLV-1関連脊髄症(HAM)(2023年追加)
- 遺伝性痙性対麻痺(2023年追加)
ロボットスーツHALは実施前後の歩行能力評価が定められており、その効果判定で実施の継続、休止が判断されます。
HALの対象患者さんが多くなった場合、やむを得ず実施頻度の調整や休止期間をとらせていただく場合があります。
予めご了承ください。
【HAL サイズ(Mサイズ)】
適用身長:160~175cm(155・180㎝でも対応可能な場合があります)
適用体重:40〜100㎏
【HALの仕組み】
HALは脳から発せられた信号を読み取り、読み取った信号に沿って装着者の動作をアシストします。
1.「歩きたい」と考える
「歩きたい」という信号が脳から発せられ、発せられた信号は神経を通じて筋肉へ伝わります。
信号が伝わった筋肉は脳が考えた動作を行います。
2.HALが信号を読み取る
脳から神経を通じて筋肉へ送られた信号は非常に微弱な“生体電位信号”として、皮膚表面から漏れ出します。
HALはその“生体電位信号”を読みとり、他の様々な情報を組み合わせて、装着者がどの様な動作をしたいと考えているかを認識します。
3.HALが動作をアシスト
HALは認識した動作に合わせて、パワーユニットをコントロールします。
これにより、装着者の意思に沿った動きをアシストしたり、普段より大きな力を出すことのサポートが可能になります。
4.脳が動きを学習
HALによってアシストされた動作を脳が学習します。これを繰り返すことで、歩行機能が改善されていくという仕組みです。
【HAL実施の流れ】
当院、脳神経内科の受診が必要です。
脳神経内科医がHALの対象であるか否かを判断します。
HALの対象と判断されましたら、入院又は外来での日程調整を行います。
脳神経内科医からリハビリテーションセラピスト科へHAL開始の連絡
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初回:実施前歩行能力評価
10m歩行速度・2分間歩行距離測定
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HAL装着での歩行訓練 1日1回 × 9回
実施期間は、入院・外来により異なります
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実施後歩行能力評価
10m歩行速度・2分間歩行距離測定
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脳神経内科が効果を判断し、継続or休止を決めます
【実施に際しての注意点】
ロボットスーツ HAL使用の際は、両脚に電極を貼り付ける必要があります。
そのため、電極が着脱のしやすい特別なズボンの着用をお願いしています。
HAL使用中の転倒防止のため、特殊な懸垂帯を使用した歩行器を使用して実施します。歩行能力評価の際にもこの歩行器を使用します。
HALによる治療で歩容が改善し、持久力や活動性が増しても、歩行時には十分な注意が必要です。
【当院の年度実施実績(件数)】
年度 | 件数 |
2020年度 | 202件 |
2021年度 | 189件 |
2022年度 | 454件 |
2023年度 | 523件 |