早期発見で多くのがんは治せる時代です!~定期的ながん検診・人間ドックのすすめ~
2026年7月27日(月)、地域住民の皆さまを対象とした市民公開講座を開催しました。
今回の講座では、当院健診・予防医療センター 特任院長補佐の奥澤 星二郎 医師が、がんを早期に発見することの重要性や、がん検診・人間ドックの役割について解説しました。

がんは、日本人の死因の第1位であり、生涯のうちに多くの方が罹患する身近な病気です。一方で、医療の進歩により、早期に発見できれば治癒が期待できるがんも多くなっています。
奥沢医師は、早期がんと進行がんでは、治りやすさや治療による身体への負担に大きな違いがあることを説明しました。早期の段階で発見できれば、比較的小さな手術や短期間の治療で済む可能性が高く、医療費や身体への負担も抑えられます。しかし、発見が遅れて進行してしまうと、大きな手術や長期にわたる抗がん剤治療が必要となり、治療が難しくなる場合もあります。
このように早期発見が重要である一方、がん検診の受診率は十分に高いとはいえません。また、検診で異常を指摘されても、精密検査を受けない方が少なくないことも課題です。症状が現れてから医療機関を受診した場合には、すでにがんが進行していることもあります。
そのため、症状が出てから病気を治療するだけでなく、症状のない段階から積極的に検査を受け、病気を早期に見つける「攻めの予防医療」を徹底することが大切です。
講演では、肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がん、膵臓がんなどを取り上げ、それぞれの特徴や、早期発見のために行われる検査について説明しました。
特に膵臓がんは、初期には症状が現れにくく、発見が遅れやすいがんです。しかし、1cm以下の小さな段階で発見できれば、治癒が期待できる可能性が大きく高まります。講演では、腹部超音波検査などを含む定期的な検査を受けることの重要性が紹介されました。
「自分は元気だから大丈夫」と思っていても、がんの初期には自覚症状がほとんどないことがあります。自覚症状がないうちから定期的にがん検診や人間ドックを受けることが、早期発見への第一歩となります。
当院の人間ドックでは、横浜市が実施する各種がん検診に加え、腹部超音波検査などを組み合わせることができ、全身を幅広く調べます。検査後には医師が結果を詳しく説明し、精密検査や治療が必要な場合には、当院の診療科への紹介や早期受診につなげています。
また、看護スタッフによる生活習慣改善のための保健指導も行っており、検査を受けて終わりではなく、その後の健康管理まで継続して支援しています。年に一度、自分の身体の状態を確認することが、身体への負担が少ない治療や健康寿命の延伸につながります。
最後に、65歳頃からがんの発見率が上昇する一方で、人間ドックの受診率は低下する傾向にあることが示されました。奥沢医師からは、65歳からも定期的に人間ドックを受けることが、健康で豊かな生活を送るための一助となるとのお話がありました。
講演後には、参加者の皆さまから多くの質問が寄せられ、がんの早期発見や人間ドックへの関心の高さがうかがえる講座となりました。
内容をQ&A形式でご紹介します。
昔と異なり、現在の経鼻内視鏡は性能が向上しており、口から挿入する内視鏡とほぼ同等の画質で検査できるようになっています。
時期によっては予約が混み合い、検査日までお待ちいただく場合があります。症状がある場合には、健診ではなく当院の外来での保険診療によって、より早く検査につなげられる場合があります。
可能です。ただし、当院の人間ドックでは、胃カメラだけでなく腹部超音波検査なども併せて受けることができ、膵臓を含めて幅広く確認できる点がメリットです。
はい。75歳以上の方も人間ドックを受けることができます。
腹部超音波検査は、膵臓の状態を確認するために有用な検査の一つです。現時点で大きな問題がなくても、膵臓に嚢胞などがある場合には、その大きさや形状に変化がないかを確認するため、定期的に検査を行うことがあります。
公的ながん検診には、対象年齢や受診間隔が定められています。一方、前立腺がんの検査で用いられるPSA検査は、採血で受けられる比較的負担の少ない検査です。心配がある場合には、人間ドックなどで毎年受けることも選択肢の一つです。年齢やこれまでの検査結果、家族歴などを踏まえて、医師にご相談ください。
除菌後にピロリ菌が再び陽性になることは多くありませんが、除菌前から胃の粘膜に萎縮などの変化がある場合には、除菌後も胃がんのリスクが残ります。そのため、除菌後も定期的に胃カメラを受けることが大切です。
膵臓を確認する腹部超音波検査は、人間ドックの検査項目に含まれています。
症状がない方が、がんの早期発見を目的として受ける検査は、原則として健診や人間ドックなどの自費診療となります。一方、症状や検査結果などから病気が疑われる場合には、医師の判断により保険診療で詳しい検査を受けられることがあります。
心臓病は死亡原因としても大きな割合を占める病気です。ご家族に心臓病の方が多く、ご自身でも心配されている場合には、一度検査を受けておくこともよいでしょう。特に心電図は、身体への負担が少ない検査です。
当院では心臓に関する検査に加え、頭部MRIを用いた脳ドックも行っています。脳血管疾患などが気になる方は、併せてご相談ください。
今回の講座が、「症状が出てから受診する」のではなく、元気なうちから定期的に検査を受ける「攻めの予防医療」について考えるきっかけとなれば幸いです。
済生会神奈川県病院 健診・予防医療センターでは、病院と連携した質の高い健診と、心を込めた対応に努めています。年に一度のがん検診・人間ドックを、皆さまの健康管理と健康長寿にお役立てください。